戦争体験談

情報隊での新兵訓練

同時入隊者千名程は、五、六、七の三ヶ中隊に分けられた。七中隊は警戒中隊で、これは基地にて電波探知機で敵機の来襲を予知する近代的兵であり、私の属した五中隊と六中隊は、無線を持って少人数にて最前線へ出て敵機来襲を後方の基地に知らせる役目だ。
昔の歩兵の斥候のような兵種である。歩兵のように銃剣術、射撃訓練はもとより、当時の戦線南方送りとなるのか、防蚊手袋、防毒マスクのつけ方等。特に六、七月の暑い時期に鉄帽に防毒面をつけての訓練は辛かった。鉄帽は弾丸よけなので分厚くできていて、現在のヘルメットの比でなく、頭につけるととても重く感じた。
毎日が汗まみれ泥まみれの訓練である。志願願書の希望兵種に、航空兵、操縦、整備と書いて出したのに、部隊に飛行機など一機もなかった。
その上、班内には、我々新兵のいじめを趣味とするような古兵が数名おり、とんだ所へ来たものだと思ったが、後のまつりであった。